第1062回・旧東北帝国大学金属材料研究所本多記念館

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仙台市青葉区片平にある旧東北帝国大学金属材料研究所本多記念館は、同大学第6代総長も務めた物理学者・冶金学者である本多光太郎の在職25年を記念して、昭和16年(1941)に建てられた。現在も東北大学金属材料研究所本多記念館として公開されている。

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東北大学片平キャンパスには明治から昭和戦前の建物がいくつか残されているが、昭和16年竣工の本多記念館は戦前建築としては最も新しい時期の建物である。

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東北大学本館など、片平キャンパス内に現存する昭和初期建設の施設と同様、外壁は茶褐色のスクラッチタイルで仕上げられ、重厚な印象を与える。

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デザインは無装飾のモダニズムスタイルとも取れるが、正面は東京の第一生命館や同じ片平キャンパス内の旧理学部科学教室(現・本部棟)のような列柱を強調した新古典主義的な造形も見られる。

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本多光太郎(1870~1954)は、鉄鋼及び金属に関する冶金学・材料物性学の研究を世界に先駆けて創始、鉄鋼の世界的権威者となった。昭和12年(1937)の第1回文化勲章授与に際しては、最初の受章者の一人に選ばれている。

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昭和6年(1931)から3期9年に亘り東北帝国大学総長を務めている。その間、昭和7年(1932)には日本人では初となるノーベル賞(物理学賞)受賞候補にも挙げられたが、受賞は逸している。

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平成6年(1994)に、壁面の補強や内装等の改修工事が行われた。また金属材料研究所(大正5年(1916)設立)の設立百周年記念事業として、平成28年(2016)にも改修工事が行われている。

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改修を受けているが、外観は創建当初の形をほぼそのまま残している。また、内部にある本多記念室には大理石の暖炉やシャンデリアを備えた重厚な内装が残されている。

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東北大学片平キャンパス内の旧東北帝国大学の施設については、これまでも弊ブログでその大半は紹介済みなので併せて御覧頂けると幸いである。(→「宮城県」カテゴリ参照)
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第949回・旧東北帝国大学附属図書館本館(東北大学史料館)

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東北大学片平キャンパスにある東北大学史料館の建物は、大正13年(1924)に東北帝国大学附属図書館本館として建てられた。約半世紀にわたり図書館として使われた後、現在は大学の歴史を紹介する公開施設として活用されている。

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現地案内板の古写真。竣工当初は、正面向かって左隣に5階建の書庫、右隣に法文学部1号館(写真右端に一部写っている建物)がそれぞれ建っていたが、いずれも現存しない。

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旧図書館本館の裏側と向かいには、いずれも以前当ブログで紹介した旧法文学部2号館(現・法政実務研修棟)旧理学部化学教室(現・本部棟)が建っている。

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旧図書館本館正面玄関。現在は東北大学史料館の入口となっている。

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旧法文学部2号館と同様、開口部周りを石の装飾レリーフで飾る。

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設計は当時文部省技師で、のちに東北大学工学部建築学科教授を務めた小倉強(1884~1980)による。東北地方の古民家研究や戦災で焼失した仙台市の瑞鳳殿(伊達政宗を祀る霊廟)再建を手掛けたことでも知られる。

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赤い瓦屋根の上に載る小さな塔屋。

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塔屋部分のアップ。

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2階の方が窓が大きく高く造られている。
図書館として使われていた頃は、2階に天井の高い閲覧室が設けられていた。(現在は展示室として公開されている)

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外壁の煉瓦は、旧法文学部2号館の窓周りなどを飾るものと同じではないかと思われる。

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昭和48年(1973)に東北大学図書館が移転した後はしばらく空家となっていたが、昭和61年(1986)に東北大学記念資料室新館(当時)として改修、再生された。その後東北大学史料館となり、現在に至っている。

第944回・旧東北帝国大学法文学部2号館

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仙台市の東北大学片平キャンパスに残る旧東北帝国大学の施設のひとつ。
大正14年(1925)に旧東北帝国大学法文学部2号館として建てられた。

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正面全景。
東北帝国大学に法文学部が設置されたのは、大正11年(1922)。

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側面。
東北帝国大学法文学部創設当初の唯一の遺構と思われる建物。

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背面。

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保存改修工事を施され、現在は東北大学法政実務研修棟として使われている。

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腰壁や窓枠周りには褐色の煉瓦を積んでいる。

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正面中央部の装飾的な煉瓦積意匠。

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正面玄関。開口部周りには大谷石の装飾レリーフを飾る。

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改修の際には正面玄関に、片平キャンパスに現存する近代建築の保存を推進する市民団体「片平キャンパストラストファンド」から、復元した玄関照明が寄贈された。

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目立つ建物ではないが、煉瓦積などが魅力的な建物である。

第937回・旧仙台高等工業学校建築学科棟

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東北大学片平キャンパスの南端、東北学院大学と向かい合う位置に、昭和5年(1930)に建てられた、東北大学の前身のひとつである旧仙台高等工業学校建築学科の教室棟が残されている。

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仙台高等工業学校は官立高等工業学校の一つとして、明治39年(1906)に設立された。その後、東北帝国大学に一時包摂され、東北帝国大学附属工学専門部となるが、大正10年(1921)に再び独立する。第二次大戦後は学制改革により現在の東北大学に移行、工学部の一部として引き継がれた。

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建築学科の教室棟は文部省の設計、大林組の施工により、昭和5年に建てられた。

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東北学院大学側から見た外観。
道路を隔てて、以前紹介した東北学院大学本館デフォレスト館が建っている。

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東側階段室にはアーチ窓を連ねる。

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西側は横長の硝子窓が連なる、近代的な外観。

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正面の中央部分はアーチ型の門に小さな縦長窓を配した、古典的な外観とする。

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全く趣向の異なる3つの様式をひとつにまとめた珍しいデザインの建物。

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外壁は昭和初期の建物に多くみられる、褐色のスクラッチタイル張り。

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正面アーチのキーストーンには、仙台高等工業学校の校章をあしらっている。
萩の花と「仙台高等工業」の頭文字である「SKK」の文字の組み合わせ。

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かつては仙台高等工業学校の正門がすぐ前にあり、学校の顔とも言える存在の建物であった。

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現在は東北大学電気通信研究所附属21世紀情報通信研究開発センター(ITセンター)として使われている。

第925回・東北学院デフォレスト館

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過去記事で校舎群を紹介した仙台市の東北学院大学には、明治20年(1887)頃の創建と考えられている旧宣教師館も保存されている。

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近年までは、最後の住人であった宣教師の名に因み、「シップル館」と称されていたが、現在は最初の住人であるデフォレスト氏の名を取って「デフォレスト館」と称されている

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屋根は近年の改修で鉄板葺に改造されたが、元々は宮城県雄勝産の天然スレート葺き屋根であった。

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校舎群に先行して、平成24年(2012)に国の登録有形文化財となっている。

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宣教師館として全国的にみても、最古級の建物である。

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東北地方では珍しいコロニアルスタイルの洋館。

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南面上下階にベランダを設け、一階は玄関ホールを中心に書斎、居間、食堂等を配し、二階は寝室とする。

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葺き替えられた屋根以外は旧態をよく残している。

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硝子戸を建てこんだ玄関ポーチは雪国仕様と思われる。

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老朽が進んでいるが、今後の修復活用が期待される。

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(参考)東北学院大学ホームページ
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