第925回・東北学院デフォレスト館

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過去記事で校舎群を紹介した仙台市の東北学院大学には、明治20年(1887)頃の創建と考えられている旧宣教師館も保存されている。

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近年までは、最後の住人であった宣教師の名に因み、「シップル館」と称されていたが、現在は最初の住人であるデフォレスト氏の名を取って「デフォレスト館」と称されている

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屋根は近年の改修で鉄板葺に改造されたが、元々は宮城県雄勝産の天然スレート葺き屋根であった。

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校舎群に先行して、平成24年(2012)に国の登録有形文化財となっている。

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宣教師館として全国的にみても、最古級の建物である。

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東北地方では珍しいコロニアルスタイルの洋館。

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南面上下階にベランダを設け、一階は玄関ホールを中心に書斎、居間、食堂等を配し、二階は寝室とする。

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葺き替えられた屋根以外は旧態をよく残している。

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硝子戸を建てこんだ玄関ポーチは雪国仕様と思われる。

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老朽が進んでいるが、今後の修復活用が期待される。

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(参考)東北学院大学ホームページ
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第924回・旧常陸北条郵便局(カフェポステン)

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茨城県つくば市北条にある旧常陸北条郵便局は、昭和8年(1933)に建てられた小規模な住宅兼用の郵便局舎。現在はカフェとして使われている。

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旧常陸北条郵便局があるつくば市北条地区は筑波山の南麓にあり、「つくば道」と称される筑波山神社への参道沿いに位置する歴史のある地域である。

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平成24年5月の竜巻で被害を受けたものの、北条地区では古い建物を活用する取り組みが進められている。当ブログで以前紹介した旧矢中龍次郎邸もそのひとつで、旧常陸北条郵便局の真向かいに建っている。

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旧常陸北条郵便局も北条地区に残る歴史的な建物のひとつとして、平成27年9月に国の文化審議会により、登録有形文化財とするよう答申が為された。

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一階前方部分を郵便局舎として、後方と二階部分は和風の住宅とする構成。
なお、先述の「つくば道」を登った先には、同じく昭和初期の郵便局舎で当ブログでも紹介した旧筑波山郵便局がある。

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正面外壁は下見板張とし、玄関には幾何意匠を施した切妻屋根のポーチを設けている。

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正面玄関はかつての郵便局の入口であるが、カフェとして使われている現在は使われていない。
カフェには側面にある居宅部分の玄関から入るようになっている。

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カフェの入口となっている居宅部分の玄関。こちらは和風。

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居宅玄関の門燈。

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北条地区や筑波山を歩いた際の休憩にはちょうどよい場所に建っている。
カフェポステンのホームページ

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その他の北条地区の歴史的建築物。
北条ふれあい館(旧田村呉服店)は大正期に建てられた蔵造りの商家。旧常陸北条郵便局と同時に今年9月に答申を受け、共に登録有形文化財となる予定。

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北条地区では最初に登録文化財となった宮本家住宅
江戸時代末期の建設とされる。

第923回・東北学院大学

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宮城県仙台市青葉区土樋にある東北学院大学の校舎群。大正15年(1926)から昭和28年(1953)にかけて建てられた本館、礼拝堂、大学院棟の3棟が国の登録有形文化財である。

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東北学院大学は、明治19年(1886)に開校された私塾「仙台神学校」をルーツとするミッション系の私立大学である。

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東北学院の創立40周年に当たる大正15年(1926)に、米国人建築家モーガンの設計で建てられた本館(旧専門部校舎)。

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同一設計者による横浜山手聖公会を連想させるゴシック調、石造風の外観。

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外装に用いられた石材は宮城県秋保産。

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現在は事務管理棟として使われている。

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本館の正面向かって右側に建つ礼拝堂(ラーハウザー記念東北学院礼拝堂)。
街路からの撮影のため、外壁の一部しか撮れていない。

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本館と同じくモーガンの設計で、昭和7年(1932)に献堂式が行われた。

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本館の正面向かって左側に建つ大学院棟(旧シュネーダー記念東北学院図書館)。昭和28年(1953)の竣工で、設計は(株)山下寿郎設計事務所仙台支社。山下寿郎は当ブログで以前取り上げた旧海軍兵学校教育参考館丸石ビルディングの設計者。

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以上の3棟が平成26年(2014)、国の登録有形文化財となっている。
(参考)東北学院大学ホームページ

第922回・築港赤レンガ倉庫(旧住友倉庫)

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大阪市港区海岸通にある築港赤レンガ倉庫は、大正12年(1923)に住友倉庫として建てられた。
平成11年(1999)に倉庫としての役目を終え、今年、平成27年(2015)にクラシックカーミュージアムやレストランが入居する商業施設として再生された。

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大阪港の第1号岸壁沿いに建っている。
水族館「海遊館」の最寄駅でもある、大阪市営地下鉄の大阪港駅から徒歩圏内の位置にある。

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築港赤レンガ倉庫は、北側の旧200倉庫と南側の旧300倉庫の2棟から構成される。かつては倉庫の間と両脇を、大阪臨港線(平成18年廃線)が走っていた。

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大阪港第1次修築工事(明治30年(1897)~昭和4年(1929))の末期にあたる大正12年(1923)、同年に住友合資会社倉庫部から独立したばかりの(株)住友倉庫によって建設された。

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大正12年に発生した関東大震災を契機に煉瓦造りは衰退したため、同年に竣工した旧住友倉庫は煉瓦造の大型建築物としては末期の事例である。

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第二次大戦後に行われた地盤嵩上げのための盛り土工事により、壁面は創建当初より低くなっている。

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大阪市内では第二次大戦前より、工業用の地下水汲み上げによる地盤沈下が深刻であった。このため港湾部では高潮による浸水対策として、大規模な地盤嵩上げ工事が行われたものである。

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平成11年に倉庫としての役割を終えた後は、管理が住友倉庫から大阪市に移管され、再利用が模索されていた。

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その後、大阪市では平成25年(2013)に民間事業者による利活用案を募集、その結果、クラシックカーミュージアムなどから構成される商業施設として再生されることになった。

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築港赤レンガ倉庫が、既に観光名所としても定着している函館、横浜、舞鶴などの赤煉瓦倉庫群のような存在になることを期待したい。

第921回・旧大日影トンネル

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山梨県甲州市(旧・東山梨郡勝沼町)にある旧大日影トンネルは、中央本線建設に伴い明治35年(1902)に竣工した煉瓦積のトンネル。鉄道トンネルとしての役割を終えた現在は、遊歩道として利用されている。

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旧大日影トンネル遊歩道の入口は、JR勝沼ぶどう郷駅(旧勝沼駅)下車すぐの位置にあり、駅の近くには、現在も中央本線開通当時の煉瓦積のガードも残されている。

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明治29年(1896)に始まった中央本線(八王子~甲府)敷設工事は、明治36年(1903)に開通した。

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旧大日影トンネルの隣には、平成9年(1997)に開通した新大日影第2トンネルがあり、現在はこちらが中央本線のトンネルとして使われている。

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鉄道用トンネルとしての役割を終えた旧大日影トンネルは、平成17年(2005)にJR東日本から旧勝沼町へ無償譲渡され、2年後の平成19年より遊歩道として整備・公開されている。写真が勝沼ぶどう郷駅に近い下り側出口で、遊歩道の入口にあたる。

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トンネル内部。

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中央本線八王子~甲府間は昭和6年(1931)に電化されるまで約30年間、蒸気機関車による運行が行われていた。トンネルの内壁には、当時の煤塵が今もこびりついている。

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中央本線の開通は、山梨と東京との間の物流にかかる時間を短縮させ、山梨県ではぶどうやワインの輸送量が激増するなど、地域の経済発展に大きく寄与した。

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トンネルの全長は約1.4キロ(1.367.8メートル)ある。

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上り側出口から望む旧大日影トンネル。

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上り側出口は一部赤煉瓦を見せる下り側出口とは異なり、全面を石張り仕上げとする。

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旧大日影トンネルの上り側出口に近接する旧深沢トンネル。

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現在は勝沼トンネルワインカーヴ(ワインセラー)として利用されている。

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旧大日影、旧深沢の両トンネルは、以前当ブログで紹介した宮光園祝橋旧田中銀行社屋(旧勝沼郵便電信局舎)等とともに、「甲州市のワイン醸造を支えたインフラ施設・建築物」として経済産業省の近代化産業遺産に認定されている。

第920回・岩手県公会堂

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岩手県盛岡市内丸にある岩手県公会堂は、昭和2年(1927)に、早稲田大学大隈講堂や日比谷公会堂で知られる佐藤功一の設計で建てられた。現在も公会堂施設として現役である。国登録有形文化財。

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大正12年(1923)、昭和天皇(当時は皇太子)の御成婚を記念して、岩手県では公会堂の建設が県会で発議され、翌年可決された。大正14年に着工、2年後の昭和2年(1927)に竣工した。

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岩手県庁舎に隣接する公会堂は県会議事堂を兼ねており、また、皇族等貴賓を迎えるための宿泊所としての機能も有していた他、本格的な西洋料理店や撞球場を備えた県民のための社交場でもあった。現在は公会堂と西洋料理店のみ、創建当初から変わることなく今日まで続いている。

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近年になり老朽が進んだことにより、建物の存続が議論されたが、平成16年(2004)に保存が決定した。その後国の有形文化財への登録(平成18年)を経て、塔屋の耐震補強や一部内装の改修が施された。

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正面向かって左側の植え込みの中には、盛岡出身の平民宰相・原敬(1856~1921)の胸像がある。没後30年に当たる昭和26年(1951)に建てられた。高知の坂本竜馬像の作者として知られる彫刻家・本山白雲(1871~1952)の最晩年の作である。

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正面玄関ポーチ。

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6層分の高さを持つ塔屋。
竣工当時は盛岡市内でも最も高い建物であった。

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玄関ホールから正面階段を望む。

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2階廊下。

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近年の改修により、最も戦前の雰囲気が再現されている21号室。元々は西洋料理店「公会堂多賀」の大食堂として造られた部屋。

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造りつけの食器棚は、創建当初から残るオリジナル。
「公会堂多賀」は、現在も営業を続けている。

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岩手県公会堂には3箇所に車寄せがある。
県庁に面した写真の車寄せは、もとの県会議事堂入口と思われる。

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外観を印象付けている褐色のスクラッチタイル。同一設計者による日比谷公会堂と同種のタイルが貼られているが、比較すると岩手の方が明るい色調である。

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正面反対側にある、公会堂(大ホール)専用玄関。

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公会堂専用玄関はテラコッタで縁取りを施すなど、最も装飾的。

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内側も市松文様に配した床タイルなど、凝った造り。

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あと2年で、築90年を迎える。

第919回・山手234番館

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横浜市中区山手町にある山手234番館は、昭和初期に建てられた外国人用賃貸住宅群のひとつで、その中でも共同住宅である点が特徴。横浜市認定歴史的建造物。

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これまで当ブログにて紹介してきた、山手234番館に隣接して建つえの木てい横浜山手聖公会などと同様、関東大震災後の復興期にあたる大正末期から昭和初期に建てられた建造物群のひとつである。

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山手234番館は昭和2年(1927)頃に建てられたとされている。

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1、2階でそれぞれ2住戸、合計4住戸で構成される集合住宅である。

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1階正面には供用の玄関ポーチを備えている。

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石造り風の列柱が並ぶ。

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玄関。左右それぞれ別住戸の入口となっている。なお、山手234番館は現在、向かいに建つ旧エリスマン邸などと同様横浜市の所有となり、無料で公開されている。

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共同住宅ではあるが、内部には暖炉を備えている。

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館内に展示されている山手234番館の模型。採光及び通風用と思われる小さな中庭があることが分かる。また、玄関ポーチは創建当初は、中央部分にしか無かったことも分かる。

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賃貸住宅として使われていた当時の間取りを再現した模型もある。(手前が1階、奥が2階)
1階はゆったりした間取りで、かつ奥には日本人の使用人部屋(畳敷きの部屋)を備えるなど、1階のほうが上等の部屋であったと思われる。

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似たような共同住宅の現存例としては、ヴォーリズ設計の洋館としても知られる滋賀県近江八幡市のダブルハウスがある。
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現存する近代日本の歴史的遺産(台湾など旧日本領土も含む)を建造物・土木構造物を中心に、思いつくままに取り上げております。

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