第1070回・耕三寺

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広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田にある耕三寺は、発明家で実業家の金本耕三(耕三寺耕三)によって、昭和10年(1935)から造営が開始された浄土真宗本願寺派の仏教寺院である。境内には日光東照宮など全国各地の著名な寺社仏閣を模した堂宇が建ち並び、「西の日光」の異名を持つ。平等院鳳凰堂を模した本堂など、戦前から戦中にかけて建てられた建物は国の登録有形文化財となっている。

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耕三寺がある尾道市瀬戸田町は、芸予諸島のひとつである生口島にあり、隣接する因島などと西瀬戸自動車道(しまなみ海道)でつながっている。港町として尾道と並び古い歴史を有し、港に近い瀬戸田の街中には古い屋並みが残されている。写真は製塩業で財を成したという三原屋(堀内家)の屋敷。明治初年の建物とのこと。

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珍しいのはつし二階の窓で、西日本では縦格子の虫籠窓にする場合が多いが、瀬戸田の町家は横向きの格子となっている。

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瀬戸田港から10分程度歩くと、耕三寺の山門が現れる。様式は京都御所紫宸殿の御門と同じであるが、鋼鉄製で極彩色を施している点で異なる。昭和15年(1940)の建造。

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山門の先にある中門。昭和14年(1939)の建造で、法隆寺の西院伽藍を原型とするが、山門と同様に装飾は本家とは似ても似つかないぐらい派手で自由奔放なものとなっている。これは他の建物にも同じことが言える。

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中門の先にある五重塔を挟む形で、同一意匠の法宝蔵・僧宝蔵が建つ。
大阪・四天王寺の金堂を原型とする。昭和16年建造。

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法宝蔵と僧宝蔵に挟まれて建ち、境内のほぼ中央に位置する五重塔。奈良・室生寺の五重塔が原型になっているが、本家とは全く異なる趣の絢爛な塔である。元々は溶接技術者であった金本耕三の発案により、心柱には鋼管が用いられている。昭和30年(1955)建造。

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五重塔の先に見えるのが、日光東照宮陽明門を模した孝養門。昭和28年(1953)から造営を始め、10年の歳月をかけて建てられた。

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造営に際しては、日光東照宮陽明門の図面コピーを文部省から入手したという。

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細部意匠は独自の改変を施しているが、規模、意匠とも最も本家に忠実に造られた建造物である。

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孝養門は「西の日光」と称されている耕三寺を代表する建物となっている。
なお、五重塔と孝養門は竣工時期が新しいため、現時点ではまだ国の登録有形文化財にはなっていない。

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孝養門の先には、大理石造りの石舞台を挟んで本堂が建っている。平等院鳳凰堂を模して昭和15年(1940)に建てられた。

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本堂は訪問時、外装の一部補修工事が行われていたため、全景を捉えることができなかった。写真は翼廊部分。

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外壁の色彩や細部装飾は他の建物と同様、耕三寺独自の絢爛豪華なものとなっている。

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側面から見た本堂。

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背面から望む。

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石山寺多宝塔を模した多宝塔。昭和17年(1942)建造。

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境内でも一段低くなった場所にひっそりと建っているのが、昭和18年(1943)建造の銀龍閣。京都の銀閣を模して造られた。

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目も眩みそうな派手な建物ばかり並ぶ中で、唯一と言ってもよい落ち着いた趣のある建物。

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茶室としても使えるようになっている。

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銀龍閣の玄関まわり。

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耕三寺境内にある建造物のうち、昭和戦前期に建てられた15棟が現在、国の登録有形文化財となっている。その中でも最初に建てられ、元々は金本耕三が母親の居宅として建てた和洋併置式の書院「潮聲閣」は、耕三寺の原点とも言える建物であり、また見どころに富んだ邸宅建築である。これは次回記事にて紹介したい。
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