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第1159回・俳聖殿

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前回紹介した伊賀文化産業城(伊賀上野城)のすぐ近くに建つ俳聖殿は、俳聖・松尾芭蕉(1644~1694)を記念する堂として昭和17年(1942)に建てられた。郷土の文化の顕彰に努めた政治家・川崎克が伊賀文化産業城と共に残した記念的建造物であり、建築家の伊東忠太が設計指導を行ったことでも知られる。国指定重要文化財。

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伊賀文化産業城天守の三層(展望室)から望む俳聖殿。

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特異な形の屋根が遠望できる。

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藁葺き屋根を載せた門。

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二層式八角形の円堂で、松尾芭蕉の旅姿を建築物として表現するという川崎の構想に基づいて建てられた。上層を笠を被った頭部、下層は蓑をまとった身体、下層に並ぶ円柱は杖もしくは脚にそれぞれ見立てている。

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扁額が掲げられた正面が顔に相当する。

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皇紀2600年に当たる昭和15年(1940)に紀元二千六百年奉祝事業として計画され、松尾芭蕉の生誕300年に先立つ昭和17年(1942)に完成した。

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設計は川崎の構想に基づき、伊賀文化産業城の設計にも従事した島田仙之助が担当、これに伊東忠太が指導を加えた。施工は地元の棟梁である森本源吉による。

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上層の屋根は川崎克が所蔵していた芭蕉の笠に見立てたという。当初の構想では屋根は伊賀焼の瓦を用いる予定だったが、設計指導を行った伊東忠太が檜皮葺にすることを勧め、川崎がこれを受け容れたことにより、現在見られる姿となった。

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法隆寺夢殿など著名な古建築を参考として、伝統的な日本建築の技法を基礎にしながらも、遠景の屋根や軒や柱に数寄屋風の丸太を多用するなど、伝統にとらわれない自由な造形が施されている。

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芭蕉の命日に当たる10月12日には毎年、俳聖殿を会場に「芭蕉祭」が営まれている。

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「芭蕉祭」では内部の八角形厨子に安置された芭蕉翁坐像が公開されるが、通常でも正面の格子戸越しに内部を見ることができる。

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伊賀焼で造られた芭蕉翁坐像。彫刻家の長谷川栄作が原型を作成、伊賀焼の研究だけではなく自ら作陶も行っていた川崎克が焼成したものである。

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内部には芭蕉祭で入選したものと思われる献詠俳句の額が飾られている。

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建築で特定の人物を表現したきわめて特異な建造物である俳聖殿は、三重県の指定文化財を経て平成22年(2010)に、国指定重要文化財となっている。
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