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第1250回・旧水井家住宅

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兵庫県姫路市網干区にある旧水井家住宅は、大正11年(1922)に材木問屋の住居として建てられた。黒漆喰仕上げの重厚な造りが特徴の古民家で、近接する旧山本家住宅と共に現在は姫路市が所有、管理している。

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網干区の旧市街地は戦災を免れたため、現在でも古い町並みがよく残されており、以前紹介したダイセル異人館旧網干銀行などの近代洋風建築も点在する。その中でも旧網干銀行は修復、改装され、レストラン「旧網干銀行湊倶楽部」として甦るなど、これらの建物を活かした取り組みが行われている。

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旧水井家住宅と同じく姫路市が所有しており、平成28年より定期的に一般公開されている旧山本家住宅。網干銀行の頭取であった山本真蔵氏の邸宅で、大正7年(1918)に建てられた和洋折衷の洋館棟は播州でも屈指の邸宅建築である。弊ブログでも以前2回にわたり紹介しているが、回を改めて再訪記事を投稿させて頂く予定である。

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その旧山本家住宅とは目と鼻の先にあるのが旧水井家住宅。主屋は旧山本家洋館と同様に、黒漆喰仕上げの重厚な外観が特徴である。ナマコ壁が目を引く土蔵は大正3年(1914)に建てられたものである。

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旧水井家住宅は近年姫路市に寄贈され、現在は同市が管理している。

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通常は非公開であるが、催事等のときに公開されることがある。
今回訪問した際は1階の一部が公開されていたので紹介したい。

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玄関周りの柱や壁など木部は紅いベンガラが塗られている。
柱などにベンガラを塗って仕上げる例は近畿地方や中国地方の古民家で時折見ることができる。

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式台を備えた玄関。

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玄関の間の先には立派な仏間がある。

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床脇の仏壇は仏間の中でも独立した造りとなっており、僧侶が出入りするためと思われる出入口も設けられている。入口上部の欄間や格天井に精緻な造りが見られる。

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当家で最も格式の高い部屋と思われる、仏間に隣接する座敷。

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床脇には金箔貼りの壁に寺院風の花頭窓が穿たれ、太い床柱と共に重厚な意匠が目を引く。床の間との間に穿たれた菱形の狆潜りも珍しい。

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座敷から裏庭を望む。縁側に嵌められた硝子戸など古い建具類もよく残されている。

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縁側の角に残るランプシェード。

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座敷の裏には来客専用と思われる洗面所と浴室があり、色鮮やかなタイルなど創建当時の造りがよく残されている。

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タイル部分を拡大。

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かなりうすれているが、花模様が描かれた電燈の笠。

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玄関の奥には小屋組みの一部を見せる吹き抜けがある。

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主屋の裏手にも土蔵がある。

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裏の土蔵脇に設けられた外便所。
小便器は現在では珍しい絵入りの陶器が残されている。

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今は荒れているが、旧網干銀行と同様に甦る日が来ることが祈る。

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旧水井家住宅は和洋の技巧を凝らした旧山本家住宅に比べると少し地味な印象の建物であるが、内外共に重厚な造りがすばらしい建物である。貴重な歴史的建造物に恵まれた網干の街がこれらの資産を生かすかたちで活性化する事を祈りたい。
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