第207回・旧山梨県庁舎・県会議事堂

現在、県庁別館として使用されている旧山梨県庁舎は昭和5年(1930)に建てられた。
隣接する旧県会議事堂(現県議会議事堂)と共に昨年12月、山梨県指定有形文化財に指定、保存される事となった。設計は山梨県庁建築課、また顧問として日本の建築構造学の基礎を築いた佐野利器(1880~1956)が関与している。施工は清水組(現清水建設)

11月20日に庁舎内部の一般公開が行われた。写真は全てそのときのもの。旧県庁舎全景。

旧県庁に隣接する現在の山梨県庁舎。昭和38年竣工、設計は山梨県出身の内藤多仲(1886~1970)と明石信道(1901~1986)。内藤多仲は旧庁舎の設計顧問・佐野利器の弟子であり、東京タワーの設計者として知られる。

旧庁舎は内外に山梨県産の建材を用いている。主にポーチ周りに用いられている花崗岩は塩山産。

現在は教育委員会等の部署が入っている。

外壁に貼られた凹凸のある褐色タイル。当時流行のスクラッチタイルとは若干形状が違う。

軒を飾る緑色の瓦には「山」の文字を紋様化している。なお、平面及び正面立面も「山」の字形である。

玄関ホール。

玄関ホール床のタイル。人がよく通る中央部分は御覧の通り磨り減っている。80年の歴史を物語っている。

玄関ホールの先に現れる階段。大理石は全て県内から産出されたもの。

階段親柱頂部の装飾。

階段前の床も大理石が敷き詰められている。

二階の旧内務部長室(現教育長室)暖炉は創建当初からのもの。なお庁舎内には他に旧知事室にも暖炉が設けられており現存するが、今回公開対象ではなかったので見られなかった。

暖炉上部の装飾。県特産品の葡萄をあしらっている。

暖炉。ここにも葡萄。

2階から3階へ至る階段室。個人的には、この建物の内装ではここが最もすばらしいと思う。

ここにも葡萄。

3階階段室は中央部分が硝子天井になっている。

写真左手上部に旧正庁があるが現在は事務室として使われており、往年の面影は無いようである。ただし装飾豊かな天井等は隠されているだけで現存しているようだ。廊下周りも写真のとおり雑然としている。

旧正庁の扉に施された飾り。

ここから旧県会議事堂。
設計・施工者等は同じだが竣工年はこちらが若干早く、昭和3年(1928)竣工。

旧県会議事堂全景。旧県庁とは渡り廊下で繋がれている。

意匠は基本的に旧庁舎と同じ。

現在は山梨県議会議事堂。

2階、中央3連アーチ窓の内側。階段室につながるホールになっている。

同上、天井の漆喰飾り。

議場入口前。突き当たりの硝子戸に施された卍崩し風意匠がお洒落。

議場内部。結構改装されているが天井の折上げ格天井や演壇周りの装飾は当初からのもの。

ここでもやはり葡萄。

山梨県は今後も現庁舎を補強改修の上引き続き使い続ける予定。また文化財指定を受けた旧庁舎および県議会議事堂についても補強改修の上、使い続けられる予定である。
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