第297回・白雲洞茶苑

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箱根の強羅界隈は箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道によって開発が行われた。その一角にある強羅公園内にある白雲洞茶苑は、大正5年(1916)に三井財閥の大番頭で、三井物産初代社長の益田孝(1848~1938)によって造営された。国登録有形文化財。

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強羅公園正門。現在、白雲洞茶苑は公園施設の一部として公開されている。
益田孝は鈍翁の号で茶人としても知られる。強羅地区の開発に多大な貢献を果たした益田孝の恩に報いるべく、茶席を設けるために強羅公園の一角にある眺めの良い土地が、小田原電気鉄道から益田孝に提供された。

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鈍翁・益田孝は、ここに茶席「白雲洞」「不染庵」「寄付」、岩風呂の「白鹿湯」から構成される山荘を造営する。

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大正11年に益田鈍翁はこの山荘を同じく実業家で茶人の原三溪(原富太郎 1868~1939)に譲渡する。原三溪は新たに座敷を増築、この座敷は益田によって「対字斎」と名付けられる。

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原三溪没後、昭和15年にやはり実業家で茶人・松永耳庵(松永安左ヱ門 1875~1971)が原家からこの山荘を譲り受け三代目の主となる。

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近代の邸宅建築を見るとき、茶の湯の存在を見逃すことは出来ない。茶の湯は、明治維新によって旧来の担い手であった大名や豪商の多くが没落したことから一時は衰退するが、明治中後期より益田孝などに代表される新興財界人によって再興する。彼等の多くは自邸に茶席をいくつも設け、白雲洞のような茶事のための住まいも設けるようになる。

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近代の邸宅建築は、洋風建築の導入と和風建築の興隆で成り立っていると言える。茶室建築はその和風建築の中でも大きな位置を占める存在である。

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山小屋のような建物は岩風呂「白鹿湯」

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浴槽は巨岩の一部をくりぬいた野趣あふれるもの。茶事のため迎えられた来客は先ずここで汗を流した。

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曲線を描く寄付の軒。

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田舎家のような風情を見せる白雲洞の縁先。

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白雲洞から寄付、白鹿湯へ至る縁側及び渡り廊下。

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傾斜地に建てられているため階段状になっている。

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不染庵内部。

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同上、床の間。

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不染庵軒下。

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同上、白雲洞を望む。

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白雲洞は近くの宮城野の古民家を数件買い取り、それらの部材から気に入ったものを選び出し再構築したという。

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二代目の主・原三溪によって建てられた対字斎。苑内唯一の二階建で眺望がもっともよい座敷だそうだ。

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現在は一般公開の傍ら、本来の用途である茶会等に使われている。
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