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第309回・福住楼

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福住楼は、箱根・塔之澤温泉にある、明治23年(1890)創業の温泉旅館。
明治初期から昭和中期に至る、各時代の建築から構成されている。国登録有形文化財。

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国道1号線に面して建っている福住楼。以前取り上げた千歳橋の袂に建っている。そして目と鼻の先の距離で、もう少し山側にはやはり以前取り上げた環翆楼がある。

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館内にあった古写真。正面に写っている建物は今も現存し、上の写真の左端の建物がそれである。明治初期に「玉の湯旅館」として建てられた和洋折衷建築である。当初福住楼の建物は少し上流にあったが、明治43年に関東地方を襲った大洪水で流失してしまった。しかし同年末にはこの建物で営業を再開、その後は昭和の半ばにかけて増改築を重ね、現在に至っている。

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城郭か御殿を思わせる堂々とした外観の環翆楼と比較すると福住楼のたたずまいは極めて地味なものである。
写真は上記古写真にも写っている、玄関及び帳場がある棟だが、唐破風を加えた以外は古写真の形と左程変わっていない。

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帳場に掲げられた福住楼の木彫扁額。

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玄関天井の照明は洋風の装飾が施されている。

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派手な彫刻やキンキラキンの装飾は無いが、建具等にシンプルながらも実に凝った造りが見られる。

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廊下の欄干の意匠も、派手さは無いが趣向を凝らしたものである。。

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蝙蝠をあしらった廊下の欄干。中国や朝鮮では古くから、蝙蝠は縁起のよい動物とされている。

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手洗いの扉まで凝ったものである。

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客室「桜一」の縁側。建具は中国風装飾も加味したものになっている。

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川に面した「桜一」の次の間。

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脱衣場。床は箱根名物の寄木細工。

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脱衣場の流しには見事なタイル模様がある。

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脱衣場の欄間彫刻。

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浴場。この宿のシンボルとも言える、松の幹をくり抜いたものを組み合わせて造った浴槽は、一枚目に掲げた写真の大丸風呂とこの写真の中丸風呂と2種類ある。

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もうひとつの浴室、岩風呂は3連円形窓など、アールデコ風造形が随所に見られる。根府川石とコンクリートで固められた造りで、木製の上記大丸風呂とは対照的な趣を有する。

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中庭。奥に大広間棟がある。

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大広間。奥庭と中庭に挟まれた風通しのよい座敷。近年は夏場は宿泊客にこの大広間を開放しており、好評なのだそうだ。

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奥庭に面した大広間の縁側。奥庭には茶室がある。

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特異な意匠の大広間天井。凝った造形は随所に見られるものの、同じ塔之澤にある環翆楼と比べると内外共に地味である。しかし仰々しさが無く穏やかな印象を受ける。皇族、政財界人等の利用が多かった環翆楼に対して、福住楼は文人の利用が多かったと言われる。

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大広間の床の間。反対側には舞台がある。環翆楼の大広間と比較して頂きたい。
なお言うまでもないが、よい悪いの問題では無い。それぞれの異なる持ち味を楽しんで頂きたい。

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三階にある客室、「桜五」。

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同上、窓からの眺め。以下全て同客室にて撮影。

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早川の渓流を目と耳で楽しめる縁側。

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凝った欄干。右側に写る障子の桟の本数に注目。

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床脇の書院。

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窓際に設けられた読み書きに便利な造りつけの机という、書院の本来の由来がこれを見るとよくわかる。なお机上の電話は帳場(フロント)への内線電話。

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書院窓から見える中庭。透明硝子と型押し硝子と、二種類の硝子が使われている。

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