第544回・清風亭

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前回紹介した誠之堂に隣接するこの建物は、大正15年(1926)に第一銀行第二代頭取を務めた佐々木勇之助の古希を記念して建てられた。平成11年に誠之堂と共に埼玉県深谷市に移築、保存されている。

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建設当初の古写真。東京世田谷にあった第一銀行の厚生施設「清和園」内に誠之堂に隣接して建っていた。(写真には写っていないが、左手の植え込みの先に誠之堂は建っていた)

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埼玉県深谷市に移築された現在の姿。

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誠之堂と清風亭は、清和園にあった頃と同じ配置で移築・保存されている。

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佐々木勇之助(1854~1943)は初代頭取であった澁澤榮一を長年に亘って支え、大正5年の澁澤退任後は第二代頭取に就任、昭和6年まで第一銀行頭取を務めた人物。

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大正12年に佐々木が古希を迎えたことを受けて、第一銀行の厚生施設「清和園」内に誠之堂と同様、行員が資金を拠出して記念施設の建設が計画されるが、関東大震災で延期、大正15年(1926)に竣工した。当初は佐々木の雅号に因んで「茗香記念館」と称される事もあったが、その後「清風亭」の名称が定着した。

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設計は第一銀行建築課長を務め、大正から昭和初年にかけて第一銀行の本支店設計を手掛けた西村好時。
設計を手掛けた旧第一銀行の店舗では現在、函館や横浜の支店が現存している。

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大正末から昭和初年に流行した、スペイン風外観が特徴の小亭。
鉄筋コンクリート造(一部煉瓦造)の平屋建。施工は誠之堂と同じく清水組。

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屋根には、青や緑がかった色調のスペイン瓦を葺く。

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現在地への移築に際しては、両側面のベイウインドウ、及びアーチのあるベランダ部分を大きなブロック状に切り分けて運び、現地て組み立てる工法が採られた。(それ以外の部分は構造体を移築先で新しい材料で再現している)

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建具は一部にステンドグラスを嵌め込んだスチールサッシ。

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雨樋にはセミがいる。

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窓、及びアーチ周りには当時流行した焦茶色のスクラッチタイルで縁取りを施している。

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東洋趣味の濃厚な誠之堂とは異なり、明るい南欧風のベランダ。

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控え目な玄関。

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裏口。

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内部は広間一室とクローク、給湯室、便所を配している。家具や照明器具は誠之堂同様、移築に際しての復元であるが、一部はオリジナルの家具が残されているらしい。なお、清風亭も誠之堂と同様、催事等の会場として貸し出されている。

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国指定重文の誠之堂に比べると利用に際しての制約が緩いため、利用頻度は清風亭の方が高いようである。もっとも、モラルの低い利用者によって床などに損傷が生じるなど管理上の悩みも多いようだ。

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暖炉。暖炉棚に置かれているのは第一銀行時代の古写真。当時は暖炉の上に佐々木勇之助の肖像画が掲げられていた。

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窓の外には、深谷市が管理するグラウンドが広がる。
清風亭と誠之堂は、運動施設や緑地を備えていた清和園時代に近い、大変良い場所に移築されていると言える。

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ベイウインドウの下部には造りつけのベンチがある。

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ベンチの細部にも装飾が施されている。

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ステンドグラスで縁取りを施したベイウインドウの3連アーチ窓。

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ステンドグラス部分を拡大。

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平成16年、埼玉県指定有形文化財に指定される。
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