第56回・旧山崎家別邸

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大正14年(1925)に埼玉県川越に建てられた、和洋折衷式の小規模な別邸建築。地元の有力者で和菓子の老舗、亀屋の主・山崎家の隠居所。現在は山崎家の手を離れ、川越市が所有・管理している。川越市指定文化財。

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庭園から望む母屋。二階建の小規模な洋館に平屋の座敷が付く構成。
蔵造りの家が立ち並ぶ表通りから少し離れた路地裏に建つ、いかにも別宅といった佇まい。

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門を入ってすぐの場所にある待合。人力車の車夫等が控える場所として使われたのではないかとのこと。

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重厚な蔵造りの本宅とは異なり、別宅にふさわしい軽快な造りの玄関。

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玄関のある洋館部分の一階外壁はドイツ壁仕上げ、二階は同じくモルタル塗り仕上げながら横目地を切った磨き壁とする。

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階段室のステンドグラス。

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同じく階段室下部のステンドグラス。この二枚のステンドグラスのうち上部のものは、大正期を中心に活躍したステンドグラス作家・小川三知(1867~1928)の制作。

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洋館の脇には、母屋と外壁の意匠を揃えた土蔵がある。また屋根も母屋と同様に緑色の洋瓦で葺いている。

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戦前の邸宅の面白い所のひとつは、土蔵ひとつ取っても伝統的意匠あり、洋風あり、和洋折衷ありで飽きない。
しかしながら土蔵の配置は必ずといっていいほど北西(乾の方角)に配置されている。伝統的な配置と近代的な意匠の取り合わせが面白い。

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玄関に戻る。薄緑色の色硝子が実にいい雰囲気を醸し出している。

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設計者及び施工者は旧八十五銀行本店と同じく保岡勝也設計、印藤順造施工。

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保岡勝也は早くから大邸宅ではない中小住宅の設計に本格的に取り組んだ建築家としても知られる。旧山﨑家別邸はそのような中小住宅の数少ない現存例である。内部も家具や照明器具が創建当時のものが残り、保存状態も極めてよい。

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洋館一階応接間の窓のステンドグラス。こちらは小川三知ではなく、大正から昭和戦前に多くの建物のステンドグラスを手掛けていた別府七郎の作品と言われている。

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食堂前のテラス。
別邸の施主・五代目山崎嘉七は、保岡勝也が本店建物を設計した第八十五銀行の副頭取も務めて居る。隠居所として建てたものの、五代目嘉七氏は竣工後間もなく死去したため、山﨑家の迎賓館として使われていたようである。

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応接間に付随したテラス。
山崎家別邸は川越を訪れる貴賓の接待・宿泊所にも充てられ、朝香宮殿下、李王垠殿下など皇族方の御宿所にも使われた。現在も庭園には李王垠殿下御手植えの松がある。

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このテラスで貴賓を迎え、撮った記念写真が今も多く残されている。

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内部は公開されていないが、洋館・日本座敷共に非常に質の高いものである。
日本座敷は数寄屋風の洗練されたもので材料・意匠共に優れている。なお写真は縁側から撮ったものである。

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庭園と庭園にある茶室も、母屋と同じく保岡勝也の設計による。

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保岡勝也は茶室を始めとする数寄屋建築の研究者としても知られ、著作も残る。

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旧山崎家別邸では、茶室と庭園についても自らの研究を実作に反映させている。

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川越市では庭園の公開を平成25年10月で一時休止、約2年間の建物及び庭園の復元整備を行い、再公開する予定であるという。

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再公開の際は建物内部も公開されるようなので、楽しみである。

注:本記事は平成25年10月21日に山崎家本宅の記事公開と併せて、写真の差替・追加を行うと同時に本文も書き改めました。

(平成29年4月16日追記)

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修復が終わり、平成28年3月から室内も含めて公開されるようになった旧山﨑家別邸。

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洋館正面。

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洋館に隣接し、外観は洋風意匠を施された土蔵。

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人力車夫の待機用に設けられた伴待。

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内玄関側からの全景。

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庭園側からの全景。修復後庭園は保護のため、一部を除き立ち入り禁止となっている。

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茶室。

旧山﨑家別邸内部については、こちらの第1078回記事を参照されたい。
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