第570回・片倉館

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長野県諏訪市の諏訪湖東岸にある温泉施設「片倉館」は、昭和3年(1928)に当諏訪湖周辺を本拠に製糸事業を営み、片倉財閥を築いた二代目片倉兼太郎(1863~1934)が片倉製糸の創立50周年記念事業に、従業員及び地域住民のための福利厚生施設として、私財を投じて建てたものである。国指定重要文化財。

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館内に展示されている、創建間もない昭和初期の古写真。右の塔のある建物が浴場、左手の建物が畳敷きの大広間などを備えた会館。両者は渡廊下で連結されている。

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諏訪湖上からみた片倉館。上の写真と同じく、片倉館の中に展示されている昭和初期の古写真。

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諏訪湖畔から望む現在の片倉館。
設計は、台湾総督府営繕課で台中州庁専売局庁舎など台湾の主な公共建築を設計した森山松之助(1869~1949)。

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片倉館に隣接して建っていた片倉家別邸の洋館及び日本座敷は、現在諏訪湖ホテルの一部(迎賓館)として保存再利用されている。片倉館と同じく森山松之助の設計により、昭和3年に竣工。

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同じく片倉館に隣接して建っている旧懐古館。片倉館の付属施設として、片倉製糸によって昭和18年(1943)に建てられ、蚕糸業の歴史に関わる展示などを行っていた。現在は諏訪市美術館となっている。
旧片倉家別邸・旧懐古館は共に国登録有形文化財となっている。

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会館棟正面。

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外観とは裏腹に内部は殆どが畳敷きの和室になっている。構造も木造。

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車寄せ。

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会館正面のレリーフ。鳩がいる。

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会館の内部には和洋2タイプの個室、及び大広間がある。
利用者の娯楽や休憩、文化事業の場として、創建当初から現在に至るまで使われている。

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浴場棟。こちらは鉄筋コンクリート造。

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浴場棟正面のレリーフ装飾。

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階段室の窓。

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尖塔と大きな切妻屋根が特徴。湖畔に映る姿を強く意識してデザインされたようである。

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内部。
格調高い造りに似合わず(?)、湯上がり客の為の飲料ケースや衣料の吊るし売りがあったりして、気取らない雰囲気の入浴施設となっている。

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階段室。

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内側からみた階段室の窓。

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浴場棟二階の休憩室は食事処になっており、食事だけの利用もできる。

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休憩室の柱の装飾。

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製糸業が廃れた現在、会社従業員の福利厚生施設としての役目は終えたが、片倉館は現在も地元住民に親しまれているほか、日帰り入浴専用の温泉施設として諏訪湖周辺の観光名所のひとつになっている。
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No title

設計者の松山森之助は生涯デザイナーを心がけていた建築家だけあって、
ピクチャレスクでキレイな外観ですね。

台湾総督府をはじめとして台湾に多くの建築を残していてまた文化財として台湾政府が保護してくれてますが、
日本だと最近両国公会堂がとりこわされたりと(跡には槙文彦設計の刀剣博物館とやらが建設中です。)森山作品が減ってきているので大切に使っていただいていることに感銘を受けます。

後森山は台湾でも温泉施設設計しているんですね、
こちらは温泉資料館になっています。

やはりその経験を買われての片倉館の設計だったかもしれないですね。

Re: No title

片倉館はつい先日、その隣にある温泉旅館に投宿する機会があり、再訪したばかりです。
ライトアップされた夜の姿も美しいものでした。

森山松之助作品に関わらずこの時代の建物全般について、台湾の方が日本以上に大事にして
もらっているというのは誇らしいことですが、(日本の現状は)情けない気もします。
今は無い両国公会堂は首都高を走るバスの車窓からドーム屋根が見えていたのを思い出します。

台湾は10数年前に訪問、その時の建物見学の記事もいくつかございますが
北投の温泉博物館など改めて再訪したい思いが募ります。


> 設計者の松山森之助は生涯デザイナーを心がけていた建築家だけあって、
> ピクチャレスクでキレイな外観ですね。
>
> 台湾総督府をはじめとして台湾に多くの建築を残していてまた文化財として台湾政府が保護してくれてますが、
> 日本だと最近両国公会堂がとりこわされたりと(跡には槙文彦設計の刀剣博物館とやらが建設中です。)森山作品が減ってきているので大切に使っていただいていることに感銘を受けます。
>
> 後森山は台湾でも温泉施設設計しているんですね、
> こちらは温泉資料館になっています。
>
> やはりその経験を買われての片倉館の設計だったかもしれないですね。
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