第61回・旧志賀高原ホテル(志賀高原歴史記念館)

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長野県下高井郡山ノ内町平穏にある志賀高原歴史記念館は、かつての志賀高原ホテルの建物の主要部を保存・公開している施設。昭和初期に外国人観光客を誘致するために建設された「国策ホテル」のひとつで、温泉も備えた本邦初の本格的なスキーリゾートホテルとして昭和12年(1937)に開業した。経済産業省認定近代化遺産。

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開業当初の名称は「志賀高原温泉ホテル」であったが、その後「志賀高原ホテル」に改名)している。経営は京都ホテルが行った。

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建物の設計・施工は清水組(現・清水建設)による。山小屋風の外観に、内部は大きな石積みの暖炉を備えた吹き抜けのホールやステンドグラスで飾られたインテリアを備えていた。

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平成11年(1999)に営業を終え、建物は中央部分と両翼の一部を残して解体撤去された。残る部分は修復を行い、「志賀高原歴史記念館」として内部を公開、志賀高原のリゾート地としての歴史を伝えている。

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全景。かつては左右に客室棟があり、両翼を長く伸ばすような外観となっていた。現在はロビーやホール、娯楽室、食堂などパブリックスペースの主要部分と客室の一部分が保存されている。

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冒頭の写真を除く以上の写真は、平成16年(2004)の秋に初めて訪れたときのもので、当時は残された部分の修復は終わっていたが、周囲の整備はまだ行われておらず、内部は非公開であった。

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冒頭及びこれ以降の写真は、平成27年(2015)夏に再訪したときの写真である。このときは既に志賀高原歴史記念館として公開されていた。現在(平成29年)、5~10月の間に限り公開されている。

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特徴的な半円形の玄関ポーチの軒下には、暖炉で燃やすための丸太が積み上げられている。

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同時期に建てられた山小屋風意匠のホテル建築である長崎県の雲仙観光ホテル(昭和10年)や秋田県の十和田ホテル(昭和13年)と同様、一階の外壁は自然石を積み上げ、野趣に富んだ雰囲気を醸し出している。

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一階のホール及びロビーから正面玄関を望む。一階のみ鉄筋コンクリート造りで二・三階を木造とする三階建ての建物である。

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昭和初期に外国人観光客を誘致するため各地に建設された「国策ホテル」は、長野県には上高地帝国ホテル・野尻湖ホテル・志賀高原温泉ホテルの三つ作られたが、部分的ながらも開業当初の建物が残されているのはこの旧志賀高原ホテルのみである。

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旧志賀高原ホテルのインテリアを最も特徴づけているホールの暖炉。

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歴史資料館となった現在も、暖炉だけはホテルとして使われていたときと同様に使われている。

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暖炉と共に旧志賀高原ホテルの内部空間を特徴づけているのが、館内の多くの窓を飾るステンドグラス。

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二階の旧食堂。写真の右側に写るのはかつてのバーカウンター。食堂は一階中央の背面にも設けられていたが、こちらは現存しない。

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二階ホールの吹き抜け周り。

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二階からホールを望む。

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三階にも暖炉を備えたホールがあり、他の部屋と同様山小屋風の造りながら、壁面は当時の若手日本画家の手による華やかな壁画で飾られた、独特の雰囲気を有する部屋となっている。

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三階ホールの暖炉。

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三階ホールの窓際にはロッキングチェアーが並べられ、かつてのリゾートホテルの面影を伝えている。

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館内を彩るステンドグラスの数々。

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戦前の建築を飾るステンドグラスは色硝子の組み合わせだけで模様や図を作るタイプのものが多いが、旧志賀高原ホテルの場合は硝子に直接図柄を焼き付ける技法との組み合わせで作られたものが多いのが特徴である。

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和風を取り入れた3階ホールと違って、ステンドグラスはどれも非常に西洋色の強いものとなっている。

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西洋風の紋章の図柄。

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花の図柄。

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玄関ホール天井の照明は、牛乳瓶の底のようなクラウンガラスと色硝子の組み合わせとなっている。

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長野県内に設けられた3つの国策ホテルのうち、野尻湖ホテルは解体され跡形もないが、昭和8年(1933)創業の上高地帝国ホテルは現在も営業を続けている唯一のホテルとなっている。建物は昭和52年(1977)に改築されたため開業当初のものではないが、旧建物の意匠がほぼそのまま引き継がれており、昭和初期の山岳リゾートホテルの面影は現在も十分に残されている。

(平成29年3月28日追記)
写真を一部修正・差し替えの上再訪分写真を追加、それに合わせ本文も大幅に書き改めました。
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