第643回・旧永瀬庄吉邸

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埼玉県川口市は古くより鋳物産業で発展した街である。その川口における近代鋳物業の先駆者・永瀬庄吉(1857~1945)の邸宅が現在も残っており、赤煉瓦の発電所跡や大正期の洋館が今も健在である。

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街路から細い路地を入った奥に堂々たる煉瓦と御影石の門があり、その奥に永瀬邸の洋館が見える。大正11年(1922)頃の建物とされる。

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門の手前にある赤煉瓦の建物は火力発電所跡。その奥には煉瓦造の土蔵がある。
明治33年(1900)に邸宅内に発電所を設け、埼玉県下で初めて電気が灯されたという。

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永瀬庄吉は明治以降、蒸気動力や西洋式鋳物技術の導入を行い、江戸時代より続く川口の鋳物産業の近代化を行った。また川口町長も務めるなど地元の有力者として活躍した人物である。

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永瀬邸の周囲は赤煉瓦の塀で囲まれている。

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永瀬庄吉の経営する永瀬鉄工所は、当初薬研(やげん)の製造を行っていたことから地元では「薬研屋」の屋号で知られていたそである。

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洋館は背面の公園からよく見ることが出来る。
オレンジ色の洋瓦にモルタル塗りの外壁など、旧徳川慶久邸など「あめりか屋」の洋館を思わせる大正期らしい明るい雰囲気の洋館である。

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洋館に隣接して重厚な江戸風の土蔵がある。ハイカラな洋館と土蔵の取り合わせは旧川上貞奴邸(大正9年・名古屋市)でも見ることが出来る。

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発電所横の土蔵と同様、壁が落ちたりして老朽化が少々目立つ。

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進取に富んだ人物の邸宅にふさわしいハイカラな洋館は、迎賓用に建てられたのではないだろうか。

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旧永瀬庄吉邸洋館の特徴はステンドグラスの多用が挙げられる。
目に見える限り、主な部屋の窓には全面ステンドグラスが嵌め込まれているようである。

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これだけステンドグラスを窓一面に嵌め込む邸宅も、上述の旧川上貞奴邸などごく僅かで非常に珍しいものと思える。

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川口市では大正期の洋館として旧田中徳兵衛邸が市によって保存・公開されているが、旧永瀬庄吉邸も貴重な地域の文化遺産としてこれからも是非このまま保存して頂きたいものである。
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No title

こちらの家、大正時代の建築世界という建築雑誌に取り上げられていました。
ステンドグラスの屋敷といった具合で色鮮やかな室内であったことは容易に想像できますね、
市の力で文化財として保護してほしいです。
(元市長の家ですし、、、)

Re: No title

同じ川口市に残る大正時代の洋館でも、旧田中邸とは異なる趣をもつ素敵な洋館です。
老朽化が目立つだけに行く末が案じられます。
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