第825回・三里塚記念公園貴賓館

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成田空港に近い千葉県成田市三里塚にある三里塚記念公園は、かつてこの地に存在していた宮内庁(省)下総御料牧場を記念し、後世に伝えるために成田市によって設けられた公園である。御料牧場時代から残る建物としては、白ペンキ塗りの洋館造りと茅葺屋根の組み合わせが珍しい貴賓館がある。

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公園の中にある三里塚御料牧場記念館。大正8年(1919)に新築された旧御料牧場事務所の外観を再現したものである。したがって大正時代当時の建物ではない。

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館内には御料牧場の歴史資料や皇室ゆかりの品、使われていた農機具などが展示されている。

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貴賓館。公園内で御料牧場時代からそのまま保存されている唯一の建物である。

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貴賓館は元々は、下総御料牧場の前身に当たる下総牧羊場が明治8年(1875)に開かれた時、明治政府に雇われた米国出身の牧羊家、D・W・アップ・ジョーンズの官舎として三里塚に近い十倉村両国(現・富里市)に建てられた。

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明治12年にジョーンズが退職し牧羊場を去った後は事務所として使われるが、下総牧羊場が香取種畜場との合併を経て宮内省下総御料牧場となった後の明治21年(1888)に、三里塚の現在地に移築された。

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大正8年(1919)に事務所が新築(先述の記念館のモデルとなった建物。現存しない。)されると、貴賓館として使うため内部を大改装、現在の形になった。

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その後貴賓館は、皇族が来られるときの宿舎として使われたほか、各国の大公使を招待する園遊会の会場として使われた。下総御料牧場には明治天皇、昭和天皇も訪問され、今上天皇も皇太子時代に訪問されている。

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内部への立ち入りはできないので、外から覗き込む形での見学となる。写真は床の間と床脇を備えた奥の間。

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背面に回ると、一部が洋館の造りになっていることがわかる。茅葺屋根の洋館というのは非常に珍しい。

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洋館部分の内部は、一室の広い洋間になっている。

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昭和41年(1966)、新東京国際空港(成田空港)を三里塚に設置する閣議決定が為され、下総御料牧場は終焉の時を迎える。

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昭和44年(1969)に下総御料牧場は閉場、栃木県塩谷郡高根沢町に新たに開かれた高根沢御料牧場へ移転した。現在旧御料牧場の敷地の大部分は、成田空港の敷地となっている。

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貴賓館の裏手には戦時中に造られた防空壕が残されている。近年に入り整備の上、一般公開されている。(見学に際しては記念館の職員に申し出て入口を開けてもらう必要がある)

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かつてこの界隈が農牧地であったことを伝える遺構としては三里塚記念公園のほか、隣接の富里市にある旧岩崎家末廣別邸がある。三菱財閥二代総帥・岩崎久彌(1865~1955)が開いた農場兼別邸で、財閥解体により東京・湯島の本邸を去った後最晩年を過ごした家は現在、富里市によって保存公開に向けた取り組みが進められており、公開された暁には当ブログでも御紹介出来ればと思う次第である。
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